終活

Q. 【準備】終活で医療同意書を作成する必要はありますか?

A. 答え:義務ではないものの、もしもの時に望む医療を伝える支えになります。

医療同意書の作成は法的義務ではありませんが、自身の意思を医療現場に反映させる手段として有効です。ただし、作成の有無はご自身の健康状態や死生観、周囲のサポート体制によって判断が分かれます。

状況

万が一の事態に備え、延命治療の希望などを書面に残すべきか検討しているものの、どの程度の効力があるのか、今すぐ用意すべきものなのかが分からず判断が止まっている状態です。

1. 背景・基本的な考え方

医療同意書(または尊厳死宣言書・リビングウィル)は、意識不明などにより本人が意思表示できない場合に備え、希望する医療行為の内容を事前に記しておくものです。

現代の終活において、本人の意思を尊重する「インフォームド・コンセント」の観点から注目されています。特に延命治療(人工呼吸器の装着や胃ろうなど)の開始・中止に関しては、家族や医師が判断に迷うことが多いため、あらかじめ本人の意向が示されていることは、周囲の心理的負担を軽減する役割も果たします。ただし、現在の日本の法律では、医療同意書に医師に対する絶対的な法的拘束力はありません。あくまで医療チームが治療方針を決定する際の重要な判断材料として扱われます。

2. 手順・流れ

医療同意書を作成し、運用するまでの一般的な流れは以下の通りです。

  1. 意思の整理:延命治療の希望、輸血や点滴の可否、末期状態での過ごし方などを検討します。
  2. 書面の作成:自筆の書面、または公正証書として作成します。
  3. 代理人の指定:自身の代わりに意思を伝えてもらう代理決定者(家族や信頼できる知人)を決めます。
  4. 情報の共有:作成した書面の存在を家族、かかりつけ医、施設関係者に伝えます。
  5. 定期的な見直し:健康状態や心境の変化に合わせて、内容を更新します。

3. 費用・期間・持ち物の目安

作成方法により、必要となる費用や準備物が異なります。

項目自筆による作成(リビングウィル)公正証書による作成
費用の目安数百円(用紙・郵送代など)2万円〜5万円程度
期間の目安1日〜数日2週間〜1ヶ月程度
必要な持ち物用紙、印鑑、身分証明書印鑑登録証明書、実印、身分証

4. 地域・宗派による違い

地域によって差があります。自治体によっては独自の「エンディングノート」や「医療介護の意思表示カード」を配布している場合があるため、お住まいの地域の窓口で確認が必要です。

宗派によって差があります。特定の教義に基づき、特定の医療処置に対して特段の考え方を持つ場合があるため、菩提寺や所属する宗教団体に相談が必要なケースもあります。

5. 注意点

医療同意書を「作成して保管したまま」にした場合、実務上の問題が発生します。

本人が倒れた際、書面の存在を誰も知らなければ、医療現場では救命を最優先とした処置が行われます。救急搬送時に書面が提示されない限り、希望に沿わない延命治療が開始される結果となります。

一度開始された延命治療の中止は、医療機関にとって倫理的・法的なハードルが極めて高くなります。事後的に書面が見つかったとしても、即座に処置を止めることは難しく、家族が継続的な医療費の支払いや、治療中止の是非を巡る医師との協議に長期間奔走することになります。また、内容が曖昧な場合、具体的な治療の取捨選択ができず、現場の混乱を招く負担が生じます。

6. 次の行動

まずは、ご自身がどのような医療を望み、何を避けたいのかをメモに書き出してみることから始めてください。その上で、信頼できる家族やかかりつけ医に対し「もしもの時はこうしてほしい」という意思を口頭で伝え、共有する機会を設けることが、実効性を高める第一歩となります。

迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。

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