相続

Q. 【注意】年金の手続きをしないと返還が必要になることはありますか?

A. 答え:亡くなった後に振り込まれた分は、あとで返すよう求められることがあります。

受給権者が亡くなった時期や手続きのタイミングによっては、すでに振り込まれた年金を後から返還しなければならないケースがあります。

状況

家族が亡くなった後、年金事務所への連絡や受給停止の手続きをどのタイミングで行うべきか分からず、判断が止まっている状態です。過払いが発生して後から一括返金を求められないか、不安を抱えつつも具体的な動き出しができずに迷っています。

1. 背景・基本的な考え方

年金は受給権者が亡くなった月の分まで受け取る権利がありますが、日本の年金制度は「後払い(偶数月に前2ヶ月分を支払う)」という仕組みになっています。受給者が亡くなったことを年金事務所や共済組合に届け出ないと、本来支払われるべきではない翌月分以降も振り込みが継続されてしまうことがあります。

このように「過払い」状態になった年金は、法律上の不当利得となり、国へ返還する義務が生じます。一方で、亡くなった月までに発生しているがまだ受け取っていない「未支給年金(みしきゅうねんきん)」については、生計を同じくしていた遺族が請求することで受け取ることが可能です。手続きを放置すると、過払い金の返還義務だけが残り、受け取れるはずの未支給年金の権利を逃す可能性もあるため注意が必要です。

2. 手順・流れ

  1. 年金受給権者死亡届(報告書)の提出:年金事務所または年金相談センターへ速やかに届け出ます。なお、日本年金機構にマイナンバーを登録している場合は、原則としてこの届け出は不要ですが、共済年金などは別途手続きが必要な場合があります。
  2. 支給停止の確認:届け出受理後、亡くなった月の翌月以降の振り込みが止まります。
  3. 未支給年金の請求:亡くなった本人と生計を同じくしていた遺族(配偶者、子、父母など)が、自身の名義で請求手続きを行います。
  4. 過払い金の返還手続き:亡くなった後に振り込みが行われた場合は、後日、年金事務所等から「返還金納付書」が送付されます。これを用いて金融機関の窓口等で返還を行います。

3. 費用・期間・持ち物の目安

項目内容
手続き費用手続き自体は無料(返還が必要な場合はその実費)
提出期限国民年金は死亡から14日以内、厚生年金は10日以内
必要書類(例)年金証書、死亡診断書の写し、戸籍謄本、受取人の通帳、基礎年金番号通知書

4. 地域・宗派による違い

年金制度は国の法律に基づいているため、宗派による違いはありません。地域によって差がある点としては、管轄の年金事務所の混雑状況や、市区町村役場に設置されている「おくやみコーナー」で年金手続きの一括サポートが受けられるかどうかが挙げられます。詳細な必要書類や窓口については、お住まいの地域の専門機関への確認が必要です。

5. 注意点

実際によくあるケースとして、葬儀の準備や片付けに追われて年金の受給停止を忘れ、数ヶ月後に年金事務所からまとめて返還通知が届き、工面に困る事例が見受けられます。

受給停止の手続きを放置し、亡くなった方の口座に振り込まれた年金を「遺産の一部」と思い込んで引き出して消費してしまうと、後の返還義務が生じた際に、手元資金から全額を別途用意しなければならず、家計に大きな実務的負担がかかる問題が生じます。特に、亡くなった直後は葬儀費用や法要費用の支払いが重なる時期であるため、後日の一括返還は資金繰りを悪化させる要因となります。

また、意図的に届け出を遅らせて受給を続けた場合は、不正受給として厳格な調査の対象となる可能性があり、事後的に延滞金等の加算を求められるリスクも否定できません。実務的なトラブルを避けるためには、死亡診断書の受領後、早急に受給状況を確認する行為が不可欠です。

6. 次の行動

まずは亡くなった方の年金証書や基礎年金番号を確認し、お近くの年金事務所へ「いつの分まで受給権利があり、どの手続きから着手すべきか」を電話で確認してください。

迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。

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