答え

樹木葬の解約や途中解約は契約内容によって可能な場合と難しい場合があり、契約書の確認と運営主体への相談が重要になります。

1. 背景・基本的な考え方

樹木葬は、墓石の代わりに樹木を墓標とする埋葬方法で、永代供養（寺院や霊園が継続して供養・管理を行う仕組み）を前提とする契約が多く見られます。多くの場合、区画の使用料と永代供養料を一括で支払う「使用権」の契約となり、土地の所有権を取得する契約ではありません。

このような性質上、すでに納骨・埋葬を行った後は、解約というより「改葬（遺骨を別の墓所へ移すこと）」の手続きが中心になります。一方、納骨前の段階であれば、契約の解除やキャンセル、解約時の返金の有無などが契約書に定められていることが多く、内容によって対応が変わります。

樹木葬の運営主体は、寺院、民間霊園、公営墓地などさまざまであり、それぞれの利用規約や管理規程に基づいて解約の可否や条件が定められます。契約前に「解約・中途解約・キャンセル」「改葬」「承継」の条項を必ず確認することが重要になります。

2. 手順・流れ（ある場合）

樹木葬を解約・途中解約したい場合の一般的な流れは次のとおりです。

1. 契約書・パンフレット・約款を確認する
   解約や中途解約、キャンセル、返金、改葬に関する条項を確認し、解約可能な条件と必要書類、期限などを把握します。
2. 運営主体（寺院・霊園・事業者）へ相談する
   電話や窓口で事情を説明し、解約または改葬の可否、具体的な手続き、費用負担、返金の有無を書面で確認します。
3. 納骨前の場合の解約手続き
   解約申請書や契約解除届など、指定の書類を提出し、支払済み費用の扱い（全額返金、一部返金、返金なしなど）について精算を行います。
4. 納骨後の場合の改葬手続き
   新しい受入先の墓所・納骨堂などを確保し、改葬許可申請書を役所に提出したうえで、樹木葬の墓所から遺骨を取り出して移します。改葬には法律が関わるため、役所や専門機関への確認を推奨します。
5. 解約・改葬後の書類・証明書の保管
   解約合意書、領収書、改葬許可証の写しなどを後日のトラブル防止のために保管します。

3. 費用・期間・持ち物の目安

項目	内容	相場・目安
主な費用	解約手数料、事務手数料、改葬時の取り出し料など	数万円程度
付帯費用	新たな墓所の契約費用、改葬に伴う石材店費用、法要の御布施など	数万円〜数十万円
期間	相談開始〜解約・改葬完了までの期間	1〜3か月程度
掛金・使用料の返金	契約書の定めに沿って精算	全額返金・一部返金・返金なしなど

主な持ち物の例

• 契約書・申込書控え
• 領収書や支払明細
• 本人確認書類（運転免許証、マイナンバーカードなど）
• 印鑑（認印または実印の指定があれば従う）
• 埋葬許可証や改葬許可証（納骨後の改葬手続きの場合）

費用や期間、必要な持ち物は地域・宗派・運営主体によって差があります。

4. 地域・宗派による違い

• 地域差：地域によって手順・費用・形式が異なります。
• 宗派差：宗派によって作法や儀礼内容が異なります。

同じ樹木葬でも、都市部と地方では区画の広さや料金体系が異なり、解約や改葬に伴う費用負担の考え方も変わる場合があります。また、寺院墓地では、檀家としての付き合いや年回忌法要との関係を踏まえた対応が求められることがあります。

不明点がある場合や判断に迷う場合は、寺院・霊園・自治体・消費生活センター・法律専門家などの専門機関への確認を推奨します。

5. 注意点とまとめ

樹木葬の解約や途中解約に関しては、次の点に注意する必要があります。

• 契約前に、解約・キャンセル・返金・改葬の条項を必ず確認してから申し込むこと。
• 納骨前と納骨後では手続きの性質が異なり、納骨後は解約ではなく改葬が中心となること。
• 解約時に支払済み費用が戻らないケースや、一部のみ返金されるケースがあるため、書面で条件を確認すること。
• 改葬は法律上の手続きが必要であり、役所や寺院・霊園、法律専門家への相談を行うこと。
• 地域・宗派・運営主体によって内容や手順、費用が大きく異なるため、一つの事例を他にも当てはめないこと。

不明点は必ず寺院・霊園・自治体・消費生活センターや法律・税務などの専門機関に確認し、早めの準備と相談を通じて、将来のトラブルや親族間の行き違いを防ぐことが大切です。

6. 次の行動

1. 手元にある樹木葬の契約書・約款・パンフレットを確認する。
2. 親族・喪主・関係者と現状や希望、解約や改葬の意向を共有する。
3. 寺院・霊園・事業者の窓口に相談し、解約や改葬の可否・条件・費用を文書で確認する。
4. 納骨後の場合は、新しい墓所や納骨先を検討し、役所での改葬手続きについて問い合わせる。
5. 必要に応じて、自治体の窓口、消費生活センター、弁護士・司法書士などの専門機関に相談する。

迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。無料相談はこちら