Q. 樹木葬契約に親族の同意は必要?実務上の扱いとトラブル回避のコツ
答え
樹木葬の契約は多くの場合で本人単独でできますが、霊園の規約や将来のトラブルを避けるため親族の同意や理解を得ておくことが重要です。
1. 背景・基本的な考え方
樹木葬は、墓石の代わりに樹木や花木などを墓標とする埋葬方法です。多くは霊園や寺院と「永代供養付きの墓地使用契約」または「納骨堂使用契約」に近い形で契約します。
契約上は、成年で判断能力がある人であれば、原則として本人が単独で申し込みできます。法律で一律に「親族全員の同意が必要」とは定められていません。ただし、墓地や祭祀(先祖供養)に関しては、後で相続人や親族が関わる場面が多く、誰が祭祀を主宰するかが問題になることがあります。
そのため、実務上は霊園や寺院が「配偶者や子どもの署名・同意書の提出」を任意または必須としている場合があります。また、親族が知らないまま契約を進めると、死後に「そんな契約は聞いていない」「自分も一緒に入りたい」などのトラブルになりやすくなります。
このような背景から、法的な必須条件かどうかにかかわらず、事前に親族と十分に話し合うことが安全な進め方といえます。判断に迷う場合は、霊園や寺院、行政書士や弁護士などの専門機関への相談が有効です。
2. 手順・流れ(親族同意を踏まえた進め方)
- 樹木葬の情報収集と候補の絞り込み
サービス内容、埋葬方法、費用、供養の仕方、承継の有無などを資料請求や見学で確認します。 - 親族への説明と意向確認
自分の希望(樹木葬を選びたい理由、場所、費用負担)を整理し、配偶者や子ども、きょうだいなど主要な親族に説明します。反対意見があれば理由を聞き、代替案も含めて話し合います。 - 霊園・寺院での相談とルール確認
契約申込の前に、親族同意書の有無、名義人の取り扱い、将来一緒に納骨できる範囲、改葬や解約の条件などを具体的に確認します。 - 契約書の確認・署名
契約書や使用規則を読み、名義人、埋葬対象者、永代供養の内容、管理期間、費用、支払い方法などを確認します。必要な場合は親族にも内容を共有し、同意書を取り交わします。 - 納骨とその後の連絡体制
納骨日時や立会い者を調整し、終了後は親族に場所や契約内容を共有します。将来、連絡先や承継者を変更する場合の手続きも確認しておくと安心です。
3. 費用・期間・持ち物の目安
| 項目 | 内容 | 相場・目安 |
|---|---|---|
| 主な費用 | 樹木葬区画の使用料、永代供養料、管理料など | 20万〜80万円程度 |
| 付帯費用 | 彫刻費、プレート代、開眼供養・法要のお布施など | 5万〜20万円程度 |
| 期間 | 契約〜納骨までの期間 | 遺骨がある場合は1〜2か月程度が多い |
| 持ち物 | 本人確認書類、印鑑、埋葬(火葬)許可証、遺骨、改葬の場合は改葬許可証など | 霊園・寺院の指示に従う |
- 実際の費用や必要書類、期間は、地域・宗派・運営主体によって差があります。
- 契約前に必ず見積書と必要書類一覧を取り寄せて確認してください。
- 契約内容に不明点がある場合は、霊園や寺院だけでなく専門機関への確認を推奨します。
4. 地域・宗派による違い
- 地域差:地域によって手順や費用、受け入れ可能な樹木葬の形式が異なります。自治体の条例で墓地の形態や表示方法を細かく定めている場合もあります。
- 宗派差:宗派によって作法や読経、戒名・法名の扱い、他宗や無宗教の受け入れ可否が異なります。寺院墓地では檀家になることを条件とすることもあります。
不明点は寺院・霊園・自治体・専門機関への確認を推奨します。
5. 注意点とまとめ
樹木葬の契約そのものに、法律で一律に親族の同意を義務付けているわけではありません。ただし、霊園や寺院の内部規定で同意書や署名を求める場合があり、また将来、祭祀や相続の場面で親族が関わることを踏まえると、事前の話し合いは不可欠です。
親族に十分説明しないまま契約すると、「場所が遠すぎてお参りしにくい」「自分も同じ区画に入りたいのに条件が合わない」などの不満や紛争につながるおそれがあります。契約前に複数の候補を比較し、親族と相談しながら進めることがトラブル回避につながります。
また、契約書や規約の解釈、祭祀承継、改葬の可否など、法務上の判断が必要な事項については、寺院・霊園の説明だけに頼らず、必要に応じて弁護士や行政書士などの専門機関への確認を行ってください。早めの情報収集と共有が、本人と親族双方の安心につながります。
6. 次の行動
- 自分の希望する樹木葬のイメージや予算、場所条件を書き出し、親族と共有する。
- 複数の霊園・寺院に問い合わせや見学を行い、親族同意の取り扱いや契約条件を比較する。
- 契約書や規約をよく読み、不明点があれば霊園・寺院や専門機関に確認したうえで、親族とも合意を得てから申し込みを進める。
迷ったら、まずはお気軽にご相談ください。無料相談はこちら
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